コラム

3年目までに開く配属の差

同じ年に入った同期が、案件をひとつ任されている。こちらは同じような事務処理を繰り返している。仕事の内容が違うことには、途中から気づいていた。

差がついたのは自分の力量だろうか、と受け取ってしまう場面です。ただ、任される業務の種類は、能力の評価より前に、初期配属の時点で決まっている部分があります。

この記事では、配属がどう決まり、三年で何が積み上がるのかを整理します。経歴としてどう読まれるかが分かると、いま転職に動くべきかどうかの判断材料になります。

目次

差は業務の種類で開く

【1】同じ三年が同じ経験にならない

在籍した年数は同じでも、その期間に触れた業務の種類は配属で変わります。手順が決まった処理を担当した三年と、案件の流れの一部を担当した三年は、別の経歴になります。

積み上がるものが違うため、三年目の時点で職務経歴に書けることの範囲も変わります。年数ではなく、業務の種類が差として出ます。

この差は、あとから追いつけないものではありません。ただ、追いつくには担当する業務の種類が変わる必要があり、同じ配置のままでは時間をかけても縮まりません。

【2】能力の評価は後から乗る

任される範囲は、最初から能力で決まっているわけではありません。配属先にある業務の種類が先にあり、その中での評価が後から乗ります。

部署に自分の意思で判断する内容を伴う業務が置かれていなければ、判断の経験は積みようがありません。評価が高くても、扱える業務の範囲は部署の外に出ることが難しいのです。

【3】自分では見えにくい

この差は、社内にいると見えにくくなります。比較の相手が同じ部署の人になるため、業務の種類が違う同期との差は、成果の差として受け取られやすくなります。

見え方が変わるのは、社外の基準に当てたときです。求人票の必須要件を読むと、自分の担当してきた業務がどの範囲に入るかが分かります。

読むときは、歓迎要件ではなく必須要件だけを見ます。並んでいる業務のうち、自分が任されたことのあるものがいくつあるかを数えると、いまの位置が分かります。

数が少なくても、それは能力の判定ではありません。部署に置かれていない業務は経験として発生しないため、要件との一致は配属の反映でもあります。

配属はどう決まるのか

【1】席が空いている場所に入る

配属の起点は、その年に席が空いている場所です。退職、増員、組織変更によって、受け入れられる部署が年ごとに変わります。

適性の判断も行われますが、席のない部署には配属できません。入社年によって配属先の分布が変わるのは、この理由からです。

配属の希望を出していた場合、通らなかった理由が本人に説明されることは少なくなります。説明しにくい事情が含まれるため、結果だけが伝えられます。

このため、希望が通らなかったことを評価の結果として受け取りやすくなります。実際には、その年にどこが空いていたかが先に効いています。

【2】受け入れ側の余力

もう一つは、教える人の手が空いているかです。業務が立て込んでいる部署では、新人に説明しながら進める余裕が取れません。

余力のない部署では、手順が決まっていて任せやすい業務から渡されます。これは配属先の事情であって、本人の評価とは別に決まっています。

【3】初期配属が次の配属に効く

一度ついた業務の履歴は、社内で次の異動を検討するときの材料になります。同じ種類の業務なら任せられる、という判断がされやすくなるためです。

そのため、初期配属の影響は最初の一年で終わりません。三年目の時点で担当している業務は、一年目の配属の延長になっている場合があります。

延長が続いているかどうかは、担当の増え方で見えます。同じ種類の業務が量として増えているなら延長です。種類が増えているなら、範囲が動いています。

任される業務の三つの差

配属によって変わるのは、業務の量ではなく性質です。三つの点で分かれます。

【1】手順が決まっているか

手順が決まった業務では、正確さと処理量が評価の対象になります。覚えた範囲を安定して回せることが求められます。

手順が決まっていない業務では、進め方を自分で組む必要があります。どちらが上ということではなく、鍛えられる部分が違います。

どちらの環境にいるかは、指示の出方で見分けられます。手順まで指定されるなら前者、目的だけを渡されるなら後者です。

【2】自分の判断が含まれるか

自分の意思で行う判断が含まれる業務では、条件を比べて選ぶ場面が日常的に発生します。選んだ理由を説明する経験が積み上がります。

含まれない業務では、その経験が発生しません。選考で「どう判断したか」を聞かれたときに、答える材料が手元にない状態になります。

【3】前後の工程が見えるか

自分の担当の前と後が見える配置では、全体の流れが理解できます。なぜこの処理が必要なのかを、業務の目的から説明できるようになります。

見えない配置では、処理の手順は分かっても目的の説明が難しくなります。これも配置の問題であって、理解力の問題ではありません。

補う方法はあります。自分の処理したデータが次にどこへ渡り、何に使われるのかを、渡し先の担当者に聞いておくことです。

一度聞いておくと、業務の目的を自分の言葉で説明できるようになります。担当の範囲は変わりませんが、職務経歴などに書ける内容は変わります。

任され方

三年で積み上がるもの

選考での読まれ方

決まった手順の処理が中心

正確さ、処理量、業務の理解

同種の業務では即戦力。範囲外は未経験として扱われる

案件の一部を担当

担当工程の専門性、関係者との調整

担当した工程で評価。前後の工程は説明が必要

小さい案件を一通り担当

全体の流れ、判断の経験

規模が小さくても一通りの経験として読まれる

立ち上げや改善に関与

前提を設計した経験

説明できれば評価されるが、記述の難度が高い

経歴としての積み上がり

【1】経歴書は業務の種類で読まれる

選考で確認されるのは、在籍期間そのものではなく、その期間に何を任されたかです。三年という記述より、担当した業務の性質が先に読まれます。

このため、同じ三年でも書ける内容が変わります。書けることが少ないと感じる場合、量の問題ではなく、業務の性質に触れられていないことが原因になっていることがあります。

年数を長く書いても、この差は埋まりません。三年と五年の違いより、どのような業務に触れたかどうかのほうが、読み手の判断を分けます。

【2】処理の経験は範囲で書く

手順が決まった業務が中心だった場合、担当の範囲と量で書くことになります。対象の件数、扱ったシステム、社外とのやり取りの有無が材料です。


× 3年間、営業アシスタントとして先輩の補助を担当しました。

○ 先輩2名が担当する既存顧客およそ40社について、見積の作成と納期の回答を担当。金額の変更が必要な場合は、社内承認まで自分で通していました。


【3】前提を変えた経験を探す

手順を改革した場面があれば材料になります。


× 雑務が中心で、作業効率が高いです。

○ 部署の月次報告の集計を担当。各担当者から数字を集める段取りを組み直し、締めまでに必要な日数を短縮しました。


上の社数や人数は、書き方の形を示すための例です。実際には自分の担当範囲の数に置き換えてください。数が出ない業務は、対象の範囲(部署の人数、扱った書類の種類)で代えられます。

配属が不利ではない場合

配属で差がつくと書いてきましたが、いまのあなたの配属が不利とは限りません。

【1】手順の精度が評価軸になる領域

正確さと処理量が評価の中心になる職種では、手順が決まった業務の経験がそのまま要件に合います。同じ業種の同じ職種に移る場合は、この経験が最も読みやすい材料になります。

意思決定の経験が少ないことが不利に働くのは、業務の設計側に回る職種に移る場合です。移る先によって、同じ経歴の読まれ方が変わります。

確認の順番は、経歴の書き方を直すより先に、移る先の職種を決めるほうです。要件が分かれば、書き足すべき材料も決まります。

【2】社内で動く選択

配属を理由に外に出る前に、社内で次の異動が見えているかを確認する余地があります。見えているなら、待つほうが早い場合もあります。

確認の材料は、制度の有無ではなく運用の実態です。直近数年で、同じ部署から別の業務に移った人がいるかを見てみてください。前例がなければ、制度があっても動きにくい状態です。

【3】急いで転職に動くと起きること

一方で、説明できる材料が少ない段階で動くと、応募できる求人が「未経験可」の枠に寄ります。その枠は職種の分布が偏っており、選べる範囲が狭くなります。

動く時期を決める前に、いまの配属で書ける材料を出し切っておくほうが、選択の幅は広がります。

## まとめ

・同期との差は能力の前に、初期配属で任される業務の種類から開く。部署に置かれていない業務の経験は積みようがない

・配属は、その年に席が空いている場所と、受け入れ側の余力で決まる。初期配属の履歴は社内で次の異動を判断する材料にもなる

・分かれるのは業務の量ではなく性質。手順が決まっているか、判断が含まれるか、前後の工程が見えるかの三点

・選考で読まれるのは在籍期間ではなく担当した業務の性質。手順中心の経験は、対象の範囲と量で書くと材料になる

・いまの配属が不利とは限らない。正確さが評価軸の職種では要件に合う。外に出る前に、社内で同じ部署から別業務に移った前例があるかを確認する

新着コラム